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「タラノメ」 #1 交差点

タラノメ photo / wakako kikuchi

 

この度より「よむプントゥ」にて連載を持たせていただく、taraと申します。

はじめまして。

わたしもPuntoe/nualaを愛用している一ファンとして、きっといまこの記事を読んでくださっている皆さんとは、素直な「すき」や、日常のちょっとした「こだわり」みたいなものがどこかで交差しているのではないかという気がします。

「詳しくないけど好んで飲むのはナチュラルワイン」

「新月と満月の日はなんかワクワクしちゃう」

「卵は黄身の色が薄いほうが好き」…例えばそんな、少しニッチな「くくり」みたいなものが、なにかひとつでも交差すると魔法のようにググッと距離感が縮むように想うのです。

そして、「身につける肌着は天然素材(なるべくシルク)」というのも、わたしにとって「はじめまして」の境界を溶かす魔法のくくりのひとつだったりします。

「すき」や「こだわり」がたくさん交わる、交差点。

そんな読みものになったらいいなぁと妄想膨らませつつ…正直なところ、わたしは文章を書くことに長けているとは思っていません。

最初にこの連載のオファーをいただいたときも「本当にわたしでいいの!?」と少々不安ではありましたが、昨年始まったある雑誌の連載で書かせてもらっている「自身の言葉」が、少なからず執筆の筋トレのようなものになっていて、書くおもしろさとひと匙の自信を見出しはじめた今日この頃…ほんのり育ってきた執筆筋を、シックスパックとまでは言わなくとも真ん中にスッと一筋線が入るくらいにはなるのではないかと、オファーを受けることにしました。

そして、このお話を提案してくださったディレクターの松本さんとも、その連載の撮影にてご一緒したのが最初の出逢い。「はじめまして」だったにもかかわらず、たくさんの「くくり」が交差した撮影中のおしゃべりと、差し入れたヴィーガンのパウンドケーキも相まって松本さんのハートと胃袋をしっかり掴んだのではないでしょうか(笑)

夏真っ盛りだった撮影の日、持参したのはヴィーガン仕様の「チョコミントのパウンドケーキ」だったのですが、この、卵もバターも白いお砂糖も使わないケーキ作りは、以前、食生活を完全にヴィーガン(菜食)にしていた時から趣味で作っています。

約5年間わりとストイックなヴィーガン生活を送っていた経験がありますが、2年前に卒業。

今は、おうちベジタリアンのスタイルを取っていて、外食などではなんでも楽しむようにしています。

ただ、お菓子づくりだけは特殊で挑戦的なプロセスがおもしろいヴィーガンのものを作り続けていて、「パサパサしてどこか物足りない」と思われがちなヴィーガンスイーツのイメージを払拭すべく、毎回少しずつ分量を変えたり、科学実験のように試行錯誤しながら作るお菓子作りは、いつも刺激的かつ瞑想的な時間です。

そして季節や気分でいろいろなフレーバーを組み合わせるのも楽しみのひとつで、「インスピレーションのためのリサーチ」という名目のもとスイーツを食べ歩くおいしい言い訳にもなっています(笑)

楽しくてつい作り過ぎてしまうお菓子は、よく撮影の現場などに差し入れで持って行くのですが、「ヴィーガン」という特殊なくくりも相まって、そこから話が広がることも少なくありません。

「食」は、私たちが生きていく上で必要不可欠なエネルギー源であると共に、人と人とが心を通わすためのコミュニケーションツールとして、魔法のような力と可能性を秘めているように想います。

「食」を通して、「はじめまして」の境界が溶けた相手。

「味方」という字は最初に「味」と書くのも、同じ味(食)を共有することで、たちまち細胞レベルで繋がる(味方になる)ことができるのかもしれないなぁと想像を膨らませてみたり…。

身体のための「食」。思想としての「食」。そして芸術であり文化でもある「食」。

菜食の経験からはじめてきちんと向き合った「食」の奥行きは果てしなく、追えば追うほど離れていくようで、ハッと気づけばいつも道に迷っている。

「これが正解!」という答えはないのかもしれないけれど、いまの私に寄り添ってくれる食の在り方は必ずどこかに存在していて、流動的に、試して悩んで、あたらしい発見をしながらそのときの自分にいちばん心地いい選択をしていけるように…。

「食」のことはじめ、日々感じるさまざまなものに対する私なりの想いや切り取った描写が、みなさんの心にほんの少しでもじんわり染みて、なにか一つでも交差してくれたら…「はじめまして」の境界が溶けた先、思いもよらない答えが待っているかもしれません。