助産師さんが綴る連載コラム『むすびめ』 #3家族会議のススメ
#3 家族会議のススメ
musubi助産院 助産師 塩見直美
“家族会議”と聞いて思い浮かべるのはどんな光景でしょうか。
家族に何か事件が起こり、お父さん、お母さん、子供達が机を囲んで、お父さんから家族へお達しがある…そんなイメージをする人もおられるのではないでしょうか。
でも、我が家の家族会議はちょっと違います。今回はわが家の家族会議についてお話しようと思います。
我が家では2018年頃から家族会議をするようになりました。
第一子(男)が小学校4年生、第二子(男)が小学校1年生、第三子(女)が3歳の時でした。
最初の議題は学校に行きづらくなっていた「次男のこころについて」でした。
家族会議は、不定期開催で、各自話し合いたい議題メモを議題ボックスに入れていき、それがたまってきた頃や、親の私たちが家族で話し合いたいことがある時、または子供の方から「家族会議をして」と言ってくる時もあります。
家族会議ファイルもあり、毎回の内容を書記がまとめ残しています。
議題は様々。
「次男のこころについて」という深い議題の時もあれば、「寝る場所を決める」や「夏休みにしたいこと」「お手伝いの内容変更」という議題の時もあります。
家族会議の時は、夜20時ごろテーブルの真ん中にお菓子を用意して、みんなで食べながら家族会議を始めます。それがわが家流の家族会議です。
ルールは
①人の話は最後まで聞く
②正直な想いを語って良い
③人を責めない
④建設的な話し合いをする
です。
家族会議をするようになって良かったと感じることは、子供達がどんなことを感じて生活しているのかがわかるようになったことです。
子供達の素直な意見は、子供がそれぞれの世界や価値観のなかで自分なりに様々なことを感じて生きているのだと毎回気づかせてくれます。
この子供達の世界観や心の様子は、生活態度や日常会話だけでは見抜くことは難しいかもしれないと感じています。
なぜなら、子供自身がその感情や心の様子に気づいていなかったり、それを表す言葉を知らなかったりするからです。
家族会議という場があることによって、子供達が自分の感情や心を伝えようとする機会が増えることで、子供達自身も自分を知る良い機会にもなっています。
また、家族のピンチや親が困っていることなどを、家族全員で解決するという姿勢は家族の絆を深めることにも一役買っています。
親が自分の弱みを素直に見せられることも家族会議の良いところです。
親は絶対的な存在ではなく、親も人間なんだと子供達が理解しその上で関係性を築いていくことで、子供を一人の人間として尊重する関わりができ子供が他人を尊重できる人になれるのではないかと考えます。
自分にも他人にも感情や意見があること、それらはいつも一致するわけではないこと、感情や意見が一致しない時にどのように解決することができるのかを家族会議を通して学んでほしいのです。
もう一つ良かったと感じることは、親としてのふるまいを省みる時間をもらえることです。
親というのは仕事に家事に育児にと息つく暇のない忙しさです。
気が付けば、子供の言動に対し上から目線で注意ばかりしている日々。毎日ただ怒っているだけの自分に気づきながらも、ゆっくりと省みる間もなくただ時間だけが過ぎていく。
自己嫌悪ばかりが募ってしまい、親としての自信もなくなっていく。
そんな状況の方も多いのではないかと思います。
家族会議という時間が、私の親としてのふるまいを省みる良い時間となっています。
それでも日々同じことが繰り返されるわけですが、“会議”という形のおかげで冷静に考え話し合えています。
せっかくご縁があって家族になれたのですから、家族という単位で色々なピンチやチャンスを乗り越えていけたらと思います。家族会議の議事録はわが家の成長の軌跡です。
みなさんのご家庭でも是非家族会議してみませんか?
アドバンス認定助産師 塩見 直美(しおみ なおみ)
2017年7月 長岡京市に出張専門のmusubi助産院を開院。
2020年4月 向日市に入院できる有床助産院として新規開院。(乙訓地域で初めての分娩取り扱い助産院)
私は「向日市」で生まれ育ちました。
現在、3児(男男女)の母親です。助産師という仕事をしていてもやはり自分の子育てでは毎日が精一杯で、悩み反省し、また同じ日々を繰り返しています。
少しずつ少しずつ元気に成長していく子供たちの姿に、ただただ心から “ありがとう” です。
同じように今まさに妊娠・出産・子育て真っ最中のお母さんたちと一緒に悩み笑いながら、ともに歩んでいけるといいなと思います。皆様の身近な存在でいられますように…。
~ 助産師とは? ~
正看護師の免許を取得した後に、さらに助産師の国家資格を取得します(進学の方法には専門学校や4年制大学などいろいろなコースがあります)。
法律では「厚生労働大臣の免許を受けて、助産または妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」と定義されています。
つまり、妊娠期から出産・育児をするときの支援や健康に関する教育や相談を行う専門家なのです。
また、出産時期だけではなく、幼児から思春期にかけての性教育や更年期の健康教育、育児や家族支援など、とくに女性と深い関係を持った職業です。
英語では“Midwife”といい、「女性とともに」という意味になります。
この言葉のように、「女性とともに」ある私たち助産師を活用していただきたいと思うと同時に、私自身が皆さんに“My Midwife”と言っていただけるような助産師として、お役に立てることができれば嬉しく思います。
musubi助産院ウェブサイト;https://musubi-maternity.com/
musubi助産院インスタグラム;https://www.instagram.com/musubi_shiomi_naomi/