助産師さんが綴る連載コラム『むすびめ』 #4 「10年後の私」
#4 「10年後の私」
musubi助産院 助産師 塩見直美
10年ひと昔と言いますが、歳を重ねる度に時の流れが速く感じますね。
今回は「10年後の私」というテーマです。
今の自分が10年前に想像していた通りだったという人は少ないかもしれません。
10年前の私は、第三子を妊娠する前でした。二人の子の育児と仕事、いつか助産院を持ちたいという夢でいっぱいだった気がします。
こなしてもこなしても終わりが見えない家事、職場でも中堅となり責任ある仕事が増え、夢と現実のギャップ、夢への焦りもありました。
3人目の赤ちゃんも望んでいましたし、やりたいことと、やらなければならないことのバランスをどうとっていくか、悩みながらとにかく走った10年だったと感じます。
現在は3番目の末っ子も小学生になり、自分の助産院も持つことができ、まだまだ家事も育児も大変ではありますが、ここからの10年を自分のためにどう生きるか考えたいと思います。
まず、10年後と聞いて真っ先にイメージすることは子供達のことです。
長男は社会人、次男と長女は大学生になっています。
彼らが自分らしく精一杯の人生を生きてくれているか、そうなってくれていたら嬉しいなと思います。
そして私は、そんな彼らのやりたいことをいつまでも応援していたいです。
どんな形であろうと彼らの望みが叶っていく姿を一番近くで見守りたい、それが一番望む10年後の私の姿です。
次に思い浮かぶのは、やはり助産師としての姿です。
ここからの10年、助産師としての目標は、“すべての女性とご家族に助産院という選択肢を持っていただく”ということです。
助産院がどういうところなのか、まだまだ認知されていないと感じています。
お産以外で利用できないと思っている人も多いはずです。
また、お産に関しても医師がいない助産院でのお産に不安を抱いたり家族の反対を受ける方もいますが、助産院はお産のためだけの場所ではなく、助産師は女性の一生をサポートできる専門職です。
そのことをまず知っていただき、困ったことがあれば、まずは近くの助産院に行ってみようと思えるぐらい身近な存在になりたいです。
「助産院は赤ちゃんや思春期の子供達の悩み事をはじめ、出産育児、更年期障害まで相談できる場所」と安心していただけるようになれば嬉しいです。
また、やはりお産に関しての想いも強くあります。
妊娠や出産が赤ちゃんを産んで終わりなのではなく、女性が少しずつ時間をかけて母になるための大切なプロセスであり、そのプロセスを大切に感じ日々を積み重ねていくことで我が子への愛情が深まり、母として生きていく自信の源となることを知ってほしいのです。
大切なお産をどこで迎えるのか、母とその家族が安心して自分たちらしく赤ちゃんを迎えることが当たり前になってほしいなと思います。
「自分が産む場所を自分で決める」というのがスタンダードになれば嬉しいです。
助産師は一生続けていける職業であり、私はこれからも助産院でたくさんのお母さん達や赤ちゃんと出会うことと思います。
「良かったね」と笑って終われるお産もあれば、つらい想いが残るお産もあるかもしれません。
その一つ一つをきちんと自分の中に積み重ねる10年でありたいし、コツコツと努力を重ねることで皆様にとって助産院のイメージや位置づけが変わっていけばいいなと思っています。
10年でこの大きな目標が達成できるかわかりませんが、いつまでも理想は高く前に進む自分でありたいと思っています。
10年ひと昔。10年単位で努力し小さな結果でも積み重ねていけば、時代は変えられるし確実に世界を変えられると信じています。
さて、皆様はここからの10年、どのように生きて、どんな世界を作っていきますか?
アドバンス認定助産師 塩見 直美(しおみ なおみ)
2017年7月 長岡京市に出張専門のmusubi助産院を開院。
2020年4月 向日市に入院できる有床助産院として新規開院。(乙訓地域で初めての分娩取り扱い助産院)
私は「向日市」で生まれ育ちました。
現在、3児(男男女)の母親です。助産師という仕事をしていてもやはり自分の子育てでは毎日が精一杯で、悩み反省し、また同じ日々を繰り返しています。
少しずつ少しずつ元気に成長していく子供たちの姿に、ただただ心から “ありがとう” です。
同じように今まさに妊娠・出産・子育て真っ最中のお母さんたちと一緒に悩み笑いながら、ともに歩んでいけるといいなと思います。皆様の身近な存在でいられますように…。
~ 助産師とは? ~
正看護師の免許を取得した後に、さらに助産師の国家資格を取得します(進学の方法には専門学校や4年制大学などいろいろなコースがあります)。
法律では「厚生労働大臣の免許を受けて、助産または妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」と定義されています。
つまり、妊娠期から出産・育児をするときの支援や健康に関する教育や相談を行う専門家なのです。
また、出産時期だけではなく、幼児から思春期にかけての性教育や更年期の健康教育、育児や家族支援など、とくに女性と深い関係を持った職業です。
英語では“Midwife”といい、「女性とともに」という意味になります。
この言葉のように、「女性とともに」ある私たち助産師を活用していただきたいと思うと同時に、私自身が皆さんに“My Midwife”と言っていただけるような助産師として、お役に立てることができれば嬉しく思います。
musubi助産院ウェブサイト;https://musubi-maternity.com/
musubi助産院インスタグラム;https://www.instagram.com/musubi_shiomi_naomi/
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